実績
会社員時代ですが、国内農地:300ha以上で農業を行っており、土地の管理担当者など複数の担当業務をしていました。
その際、100ha以上の農地を数社・個人と、農地の購入:販売の両方を行いましたので、損しない方法や、取引方法をお伝えいたします。
農地の貸し借りについても、親会社と子会社間での契約も行いましたので、お伝えします。子会社で農地所有し、親会社の経営で農地の利用・営業。
その他にも、太陽光用地の購入、賃貸、FIT権利購入などの実績もあります。
補足事項:「行間を読んで」。「言うとだめでしょ、想像してね」があります。
ちなみに買い手側目線が多いですが、そのまま逆で理解すれば、売りて目線にもなれます。
農地を取得する際の資格(国家資格とかでなく、実績)
土地・農地を取得するパターンは、個人か法人です。当たり前ですが。
個人の場合は、何もしたことがない人は、農業をできません。農業高校や農業系の大学、実家が農家、農業系の会社での実績などがないと信頼性がないので、購入・賃貸が出来ないことがありますので、条件は、各地域の農業委員会に確認ください。
- ちなみに、下記は農地の取得条件ですが、こういう意味合いですので気を付けましょう。
- 耕作放棄地にするような人間に貸すな、売るな
- 周りに迷惑をかける人間に貸すな、売るな
個人の場合:農林水産省PDF(よく読んでください)
- 農地のすべてを効率的に利用すること
- 機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること
- 補足1:営農計画書が各組織ごとにあるので、書類を貰って、初回から毎年1回報告書の提出がある。基本的には、作物、使用面積、使用地番、計画収量、実質収量があれば簡単に記載できる。年配者でも出来るので大丈夫。データはエクセルなどを貰って入力も可能
- 補足2:果樹園などのように複数の作物を栽培する場合や、農地の数や面積が多い場合は、エクセルやCADが使えれば、航空写真と公図を合わせて、地図を作成して、植える作物のマップを作成すると、将来に渡っても便利。
- 必要な農作業に常時従事すること
- 農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則、年間150日以上)すること
- 補足1:実際に農業で鍬を持って耕すことではなく、潅水管理や草刈りも該当するし、登録者が販売を行っていたり、農業にかかわる営業を行っていても良い。また、実際に150日以上、農業作業を行っていたかは分かる人がいるかな?
- 一定の面積を経営すること
- 農地取得後の農地面積の合計が、原則50a(※北海道は2ha)以上であることが必要
- ※この面積は、地域の実情に応じて、農業委員会が引き下げることが可能となっています。 (お住まいの地域の面積については、市町村の農業委員会にお問い合わせください。)
- 補足1:あまり小さい面積を言うと、1回のみで追加の土地を購入できない場合もあるそうですが、実際は知りません。高校の先生が豆知識で行っていた記憶です
- 補足2:50a=5000㎡ですが、何をするか次第ですが、最低限は欲しい面積ではありますね。よくある33坪=100㎡=10m×10mの家としたら、50軒分。50m×8m程度のビニールハウスで10棟分の面積です。
- 周辺の農地利用に支障がないこと
- 水利調整に参加しない、無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしないこと
- 補足1:水利組合に確認せず、勝手に水路や川の水をくみ上げたり、肥料の溶け込んだ排水を勝手に行ったりして、周りに迷惑をかけるなという事です。
- 補足2:農薬には除草剤なども含まれますので、自分の農地だからと、好きな薬品を散布するのはNGです。あなたがされて嫌なことはしない。
法人の場合:農林水産省PDF(よく読んでください)
- 農業に参入する場合の基本的な要件は個人と同様
- 農地の所有は、農地所有適格法人の要件を満たせば可能
- 農地所有適格法人は農地を借りることも可能
- 貸借であれば、全国どこでも可能
- 山林など農地以外の土地を取得した上で、農地に開墾する場合には農地法の許可の対象外であり、所有・貸借ともに農業参入は可能
- 社会福祉法人が社会福祉事業のために農地を活用する場合などには、法人が例外的に農地を所有することも可能
- 補足1:以前は、農地を借りるには条件が多かったのですが、だいぶ緩和されており、借りやすくはなっております。
ちゃんと計画を立てて、耕作放棄地になるようなことはせず、管理していきましょう
農地を売買・賃貸借には、農業委員会・地域の人に頼る
まず、農地を取り扱う際は、農業委員会との接触が必須になります。
良い農業委員さんや、農業委員会職員に出会えば、得な取引はしやすいので、仲良くなることが必須。
基本的に、公平な立場であり、農業者の味方ですが、地域の農業者とは仲良くしているので、相手の肩を持つ場合もあるので、言いなりなどにならずに公平な立場でいてくれる人を見つけましょう。
普通に初めて訪ねていった人と、昔から付き合っている人とでは、信頼性・実績が違うので当然ですがね。あなたも、初めてあった人と、子供のころから遊んでいる友人とどちらの肩を持ちますか?
基本的には、知り合いの伝手などから、接触することをおすすめします。
新規参入者の受け入れの可否
新規参入者の受け入れは地域差があり、個人OK・法人NOやその逆など、過去の経験から反発されるケースもありますので、農業事情なども確認するのが良いですね。
特に、果樹園などで地域ブランド化されている地域に入り込んでいく場合、かなりの反発があったりします。それはそうでしょうね、よそ者が隣に来て、市場相場を崩したり、病気を蔓延させて地域を壊滅させたりは良くある話です。軟腐病で地域のブドウ園が全滅したなどよく聞く話です。
相手も生活がありますので、当然の対応です。
簡単に受け入れられると甘い考えは捨てましょう。
信頼される関係を気づくためには、相手の庭に土足で踏み込んでいくことと理解して、自分が信頼されることが一番です。
農業委員会とは?
農業委員会は、農地法に基づく農地の売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申などを中心に農地に関する事務を執行する行政委員会として市町村に設置された組織
- 仕事
- 農地制度に関する業務執行の全国的な統性、客観性の確保。
- 市町村長から独立した行政委員会として、公平、中立に事務を実施。
- 農業者の自主的な組織として、地域の農地の利用調整(農地集積や紛争の仲裁など)に積極的に取り組む。
- 補足1:要は無料の農地専用の不動産の仲介屋さんです。
- 補足2:嫌われない範囲で、無茶な要望は言いましょう。加減がわからない人は禁止。
- 農業委員、農業委員長
- 地域選挙で選ばれた地域の農業者(その辺のおじちゃんが多い=農業経営者=一般人)
- 農業団体(農協など)、議会で推薦された人(わかりますよね?)
- 農場委員会職員
- 役場などの職員(公務員なので平等)
接触方法
農業委員会への接触方法
何もわからない、地域の知り合いはいない、完全素人は、ここから始めるしかありません。
- 電話でアポイント
- 役場などの施設で面会して、事情や行いたいことを相談する
- 補足1:会う時に田舎なら手土産・・・
- 補足2:自分で作っている商品紹介などが有効
- 補足3:ある程度のプレゼン資料や、したい事、知識を用意
- 補足4:初対面の印象は、長期間にわたり残ります。最初がダメだと信頼性は底に落ちますので、基本的にいきなり行くのはおすすめしません。
農業委員との接触
農地を元々持っていると、家族・近所に知り合いはいるものです。知り合いの経由でも良いので見つけられたら、挨拶に行って仲良くなるのが良いです。
農業委員の集まる農業委員会会議で、農地の許可関係は決定されるので、事前に農業委員が味方にいると、農業委員会の担当者は楽できるし、信頼性もあるので、協力してもらいやすくなります。
派閥や、因縁が有ったりするので、状況を聞いたり、農業委員会の会長との関係なども確認しましょう。稀にその人が嫌われ者で、逆効果の場合もありますので、悪口ばかり言う人ならば、関わらないようにしましょう。
対応は、農業委員会時と同じで良いです。逆にあまり差を付けないことをおすすめします。
地権者との接触
下記に該当しない限り、絶対に会わない事
- 相当な交渉力・知識・経験を持っている
- 昔からの知り合いでご飯なども食べる仲
- ご近所程度はNG
- 子供や親が知り合いでも、NG
- 農業委員会から話が行ってから、相手から連絡が来ても接触しない事
- 農業委員会を通して話をしたいという事です。
- ダメなら、話が大きくなる前にその土地はあきらめましょう。
- 親でも他人でも巻き込むと、後に引けなくなったり、異常に損をするので誰も信用しない事
あって得なことは、1mmも無いと思いましょう。地域で変な噂が広がったり、農業委員会でも手が出せない状況になる場合が想定されますし、意図しない結果になることが非常に多いです。
世の中良い人ばかりでは、絶対にありません。
不動産屋
基本的に相手の不動産屋は、信用しない事。自分で用意することが重要です。
不動産屋との交渉方法は、別途記事を書きます。



土地選び
「知識がない場合は、買うな。」と、言いたいところですが、ポイントはお伝えします。
土地の選定ポイント
ちなみに下記は、氷山の一角で一例にしか過ぎません。参考程度で、ご自身で最終判断を願います。
- 過去に何を行っていたか・地域性の把握
- 産廃の埋め立て地や、たばこ農地など汚染地域はできません
- 住宅後もあまりお勧めしません。
- 過去の所有者が問題を起こしている。
- 地域トラブルは、同じことをする人間と思われるケースがある。
- 問題が違法性があると、後の地権者に引き継がれるケースがある。
- 地下に違法に産廃を埋めていると引き継いだ地権者の責任
- 契約時に瑕疵担保契約を外すような人は確率が高い
- 10年程度の最大期間を設定しましょう
- 地域特性の把握
- 過去に病気が流行って、生産したいものが地域的にダメな場合
- 悪質な土壌で、沼地であったり、岩石だらけで掘削・土壌改良ができない場合もあります。
- 石をダイナマイトで破壊して開墾するケースもあります。
- 重塩害地域で植物が育たない。
- pH濃度が異常
- 火山地で変な重金属物質が検出される
- 近隣の作物を見て、お互いに害を与えないか確認する。
- 変な受粉や、農薬散布でお互いにダメージが出る場合があり、後発の農業者が被害額を負担するケースの方が多い
- 変な付属品がないか
- 数km離れた山の沢などがセットの場合もあります。
- 不要なものは外すか、1円評価で買うなど、負担は減らしましょう。
- 家や農機具の倉庫などは、使えればいいですが、素人は使えないとカウントしてください。
- 実際には、補助金や経費になったりするので、新規で買う・建てる方が基本は得です。
- 土地に容易にアクセスが出来るか
- 他人地・共有道路を通らないと入れない場所があります。
- 購入後に通行料を取られる場合や、変な費用・いやがらせを受ける場合があります。
- 通路に車を止めて塞ぐや、石を積むなど。
- 狭すぎる道・舗装されていない道
- トラックや、重機が入れず、土地の改良や機械化が出来ない場合があります。
- 舗装がない場合、道が削れて補修の必要が出たり、草刈りなどの余分な仕事が増えます。
- また、県道などの場合、行政への確認や補修依頼や自己負担などの場合もあります。
- 他人地・共有道路を通らないと入れない場所があります。
- 水源
- 基本的に、川や用水路から引き込む場合は許可が要りますので、別途組合への参加や、池の清掃活動・草刈りへの参加が義務付けられる可能性があります。
- 農業用水用の中水道があれば、OKです。
- 稲作などで田んぼの端で水が出ているもの
- 無消毒の池の水なので、飲めませんし、野菜を洗って食べることは不可
- 基本的に安価。契約は必要
- 上水道の引き込みが可能。
- 農業経営で上水道で潅水は経費倒れで潰れます。
- 個人なら、こちらの方が良い
- 地域で井戸が掘れるかの確認
- 地域によるが500mは距離を取らないと掘削できない場合がある。
- ポンプは必要なものより大きいサイズが合いが、電気代が跳ね上がるサイズがあるので、購入時に計画をしっかり立てられないなら導入しない事
- 将来的に、電気代は2倍になっても大丈夫くらいで計算しましょう。
- 育てたいものが育つ土地か?
- ある程度の栽培するものを決めておいて、考えないとまったく栽培できない場合がありますので、注意が必要です。
- 物理的に不可能に近い場合
- 米を育てたいのに、畑など
- 田んぼは粘土層があって水が抜けない構造になっている
- 畑はどこまでも水が溜まらない構造になっている
- 水田だったが、前の持ち主が粘土層に穴をあけて、破壊している
- 米を育てたいのに、畑など
- 間接的に不可能に近い場合
- 地域ブランド化されていて、容易に参加できない
- 競合他社が多すぎて、値崩れ地域(熊本のトマトは酷い)
- 基本は、農業委員会が把握しているケースが多いが、まったく無知な担当者や、今年から担当になった場合は知らないので、前任者や地域の方に、隣人に話を聞くことは重要です。
値段交渉
普通の不動産売買でもそうですが、自分からなんでもしゃべらないのが鉄則です。これは、売買・賃貸借のどの立場でもいえることです。ちなみに、通常は土地を所有していない側が不利ですが、農地の場合は手放したいが誰も引き取らないケースが多いので、買う側が有利な場合もありますので、相手の状況を把握することが大事です。
聞かれたら答えない事=変な奴=無知な奴になるので、違います。
誰にどの状況ででかなり変わりますので、ここは経験するしかありません。
基本的に農業委員会の職員と話をしてください。直接交渉を言われた場合は、その地域はあきらめるか不動産屋を間に入れましょう。
- 相手からの質問:どれくらいの価格の希望ですか
- 自分の回答NG : ○○万円が予算で、○○円でどれくらい希望
- 上限いっぱいで交渉されて損をする
- 正直50%以下の交渉が良い
- 自分の回答OK : 逆に地域相場や過去の販売実績はどうですか?
- 相手は、取引経験など聞いてきたり、それ相応の対応に代わります。
- 嘘でも良いので、仕入れた知識と会社などで昔、少しかかわった程度の話をしましょう。
- 知っている人、知らない人では対応が違いますし、まったくのド素人なら、正直に伝えた方が良い場合もあるので、相手を見て話しましょう
- 補足知識:前の会社の場合、地域の土地を買いあさったので、地域相場を作ってしまった実績がありますので、そういった情報は仕入れておきましょう。知らない標準の基準価格が存在していたりします。
- 自分の回答NG : ○○万円が予算で、○○円でどれくらい希望
- 相手からの質問:どういった土地が良いか
- 基本的には、面積と地域、栽培したい物を伝えましょう。
- まったくのノープランは、ダメです。
- 伝えた条件から、合いそうな土地をピックアップしてもらいましょう
- 後日来るので、探しておいての方が基本的には良いでしょう。
- 基本的にすぐ出てくるもの、担当者がよく知っているものは、売れ残りで押し付けたいものが多いです。
- 相手からの質問:購入時期、賃貸期間は?
- 基本的に余裕は持っておきましょう
- 来月中や可能な限り早くは、確実に損をします。
- 何かしらのイベントや、雇用の関係で急ぐ場合など目的があれば良いです。
- 目的がなければ、良い物があればすぐにとりかかる程度のニュアンスにしましょう
- 栽培するものによって、合理的な説明をすることが重要です。
- 作付け時期が過ぎたばかりで直ぐに購入や賃借は無能です。
- 土地の造成や、地盤改良、設備の購入など、逆算してから期日を伝えましょう


土地が見つかった後
土地が見つかれば、所有者の情報を限りなく集めましょう。下記は最低限です。
相手を知らなければ、交渉には勝てません。
- 保有資産はどうか
- 年齢はどうか
- 家族、後継者はどうか
- 他の土地の所有状況(アクセス道路などは特に必須)
- 対象地の管理状況
- 地域の評判
- 反社会的勢力に絡んでいないか
- 農協や行政関係とのつながり
所有者情報を基にカードを切って交渉しましょう
交渉完了後
基本的に農業委員会の会議(開催日の都合で最大2か月かかる場合があります)にかけられて、承認を得たら、それに基づいて売買契約を結んで、農業委員会にもコピーを渡します。
流れは、担当者がしてくれるので、特に悩むことはないので、お金とハンコの準備だけはしておきましょう。
土地の売買には、不動産屋がいりますので、自分で用意するか。相手の不動産屋を利用しましょう。
基本的に、自分で雇う場合で、相手も同じところの場合は、手数料なしで相手から取るように不動産屋にいいます。取引額が小さい場合は、払う必要があります。
億単位の取引でも、50万円程度は儲かれば、大体納得するでしょうから、法定上限の3%+6万円は無視して、1%などで交渉しましょう。法律上3%+6万円という不動産屋は、一回「上限でしょ、舐めてたら外すぞ」と言えば、ほぼ黙ります。ケンカになったら業者は変えましょう。いくらでもいます。
基本的に二度と会わない人なので、盛大に敵対するか、過度に仲良くなりましょう。
結論
分からない、不安の場合は、ちゃんと勉強してわかる人の協力の元で行いましょう。
これは、不動産投資でもあります。農業だけではありません。
ちなみに買い手側目線が多いですが、そのまま逆で理解すれば売りて目線にもなれます。
農林水産省HP:https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/wakariyasu.html
よく見てから、行動してください。
以上、皆さんの役に立てばうれしいです。有難うございました。
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